一幕物オペラの懸賞募集に応募するために2日2晩で書かれたプッチーニのオペラ処女作「ヴィッリ」。原作は、ドイツ・ロマン派の詩人ハイネ『ドイツについて』の中の『幽霊と悪魔』である。バレエの名作『ジゼル』と同じ題材からとられており、黒い森を舞台に、旅先で妖婦に誘惑されて婚約者アンナを忘れてしまったロベルトと、彼に裏切られ、亡霊となって現れるアンナの悲劇が描かれている。全2幕のこのオペラは上演時間約1時間強と短く、あまり上演されることの多くないが情熱的な作品である。 本公演は指揮に平野けいこ氏を迎え、情景をピアノを中心に弦や管楽器を用いて表現する予定である。これからの時代を担う若手演奏家たちが作品の真髄を音に乗せて、お届けする。